インタンジブルを深める




   嫉妬  
     
 

私たちの心に住む、手におえない悪魔の話をしましょうか。ジェラシー、そう妬妬です。この感情はネガティブなインタンジブル・パワーの一つです。これまでポジティブなインタンジブル・パワーばかりに注目してきましたが、今年はネガティブな面も追究し、それをポジティブに変える可能性を探り当てたいと思っています。

嫉妬といえば、まず、女性を連想します。二つの漢字にどちらも女偏がついています。世界の言語を見ても、フランス語のラ・ジャルジー(la jalousie)をはじめヨーロッパの言葉はほとんど例外なく女性形の名詞です。スウェーデン語では嫉妬をスヴァット・フューカ(svartsjuka)と言い、「黒く邪悪な病」を意味します。ロシア語では、リエ―ヴノスチ(ревность)。なんと辞書には例文として「殿方の嫉妬も女性に劣らず強い」などと記されています。どうやら女性だけの専売特許ではないようです。まさに誰の心の中にも住み着いているどうしようもない病。でも、何とかこのマイナスのエネルギーを理性のコンバーターでプラスに変えてしまいましょう。なにもあなたの心に住む猛獣を飼い慣らす必要はありません。

そもそも嫉妬は自分が持っていないもの、たとえば相手の美貌、若さ、財産、地位、才能、健康、あらゆるものに対し羨望し、恨み、ねたむという心の状態です。自分だって嫉妬される何かを持っているかもしれないのに、それを棚に上げて、対象物となるものを相手の中に見出します。ある意味であなたの自信のなさを認めているようなものです。また、嫉妬をすることは時に向上心にもつながるといえます。なぜなら対象物を評価しているから自分も手に入れたいと考え、努力をするひともいます。

嫉妬心の強さは自己評価ともかかわってきます。自分の持っているものを評価しないで、あるいは、評価が低いがために他人と比べて苦しみます。一人相撲で、自業自得といっても仕方ありません。ずたずたになって落ち込んでゆく姿は醜いばかりか、誰もこれを助けられません。あなたも、経験があるでしょう。嫉妬の経験のない人はありませんが、強い、弱いは人によって違います。

人間同士だけでなく、国単位だって、それがために戦争を起こしています。このネガティブなパワーを何とか弱めるか、食い止める必要があると思います。

 ☆あなたの自己評価は正しくできていますか、低すぎではありませんか?
 ☆人が基準になっていませんか?
 ☆不安、恐怖心が強すぎではないでしょうか?
 ☆思い込みが激しすぎませんか?

自己評価が高すぎては傲慢、自信過剰になりますが、低すぎては自主性がなく、自信を失うことになります。嫉妬はここにも起因します。

「私にはそれはないけれど、これがある。それは得意でないけれど、これなら出来る。それを持っていないけれど、これはある」・・・他人と自分が同じはずがない、一人一人、個性が違うのですから同じはずがありません。

嫉妬というネガティブなインタンジブル・パワーに振り回されず、ポジティブに変えてゆく努力をしましょう。氷のように凍てつき、張り付いた厄介な嫉妬心を溶かしてしまいましょう。

 
                                                        K.Yamakawa    
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