魅力もインタンジブルな力だけれど邪悪な魔力もそれに負けない負のインタンジブル力を持っています。そして魔力と魅力は隣りあわせ。魅力に引き寄せられてうっかり見えない闇の力、まさにインタンジブルな力、魔力にがんじがらめになり、そこから出るために一生を棒に振る人もいます。魅力は無計算、意図しない、無意識に発散する力に比べ、魔力は意図して、計算づくであり、計画性を以て引き付けるなど魅力とは正反対の力で襲いかかります。
人間の持つ金銭欲、性欲、名誉欲、権力欲、物欲、食欲、いや、もっともっと・・・
人間の欲にピッタリ沿って忍び寄ります。優しい、甘い言葉で、心地よく誘い、ついうっかりはまってしまう大きな落とし穴が私たちの周りには常に用意されています。
最近は高齢化社会を狙った“オレオレ詐欺”流行語になっているフェイク、過剰宣伝やチラシ。何が本当で何が虚偽なのかをしっかり選択しないと罠にはまったら自己責任であって、誰も責任をとってくれるわけではありません。自分の欲の強さに自分自身が振り回された結果です。
気を付けたいこと、たとえば・・
「入り口は甘美で近づきやすい」、「心地よい響きの誘い」、「うっかり理性を失わせる怪しい力」、「再起不能に落とし込む強い力」、「一度はいれば出口のない迷路」。
ラビリンスに迷い込んだテセウスは、彼に恋をしたアリアドネからもらった糸をたよりに脱出できましたが、これはあくまでギリシャ神話。弱い私たち人間にもこんな糸が欲しいものです。人間のみならず、国家間も欲のために、戦争を起こし、領土拡大を図り、人を殺してまで己の権力欲を達成しようとします。これ以上恐ろしいインタンジブル・パワーが世の中にあるでしょうか? 有史以来ずっと繰り返しています。
私たち平凡な市井人はせめて日常生活を営む中でそんな魔力から遠ざかるために・・・
・人の口と心には距離があることを知っておく
・罠や仕掛けはすぐ目の前、あなたの近くに存在する
・疑わしきは疑う
・スキを見せない
・ただより怖いものはない
・すぐ相談できる第三者を持つ
・美味しそうなもの、美しいものにすぐ飛びつかない
ああ、そしていちばんむずかしい、これができないゆえに魔力に引っかかるのですが、理性で欲をコントロールするように習慣づけましょう。高齢になっても人間の欲が衰えないのはつらいですね。この点においては動物のほうがはるかに賢いといえます。動物は魔力のインタンジブル・パワーとは無縁の生き物だからです。
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