インタンジブルを深める




     
   
 

医療機関の技術開発に並行して薬ほど日進月歩で進歩を遂げる産業は他にあるでしょうか。薬と食生活の改善のおかげで人生はあっという間に、50年から100年になりました。

その歴史の中で、なんといっても革命的だったのは、終戦後、アメリカから入ってきたストレプトマイシンに代表される抗生物質でした。戦後「死の病」と怖がられた結核は、ほぼ撲滅です。

戦後、私たちが子供のころの薬と言えば実にタンジブルで素朴なもの、サメの肝臓から抽出された肝油、傷にはメンソレータムやヨードチンキ、下痢に正露丸、重曹を使った胃薬、アスピリン系の頭痛薬ケロリン、ぐるぐる巻きの包帯、富山の薬売りの箱が懐かしい限りです。 

戦後、私たちは週一回、練兵場の跡地で宿題の代わりに畑に出てイナゴを捕まえさせられました。乾燥させ、すりつぶして栄養剤にしたものを学校で飲まされました。漢字を覚えるより、女の子にはきつい宿題です。上級生のお兄さんに哀願して10匹ぐらい分けてもらい、缶に入れて、学校に提出したものです。母親たちは脚気という病気にビタミンB1がいいと聞き躍起になって、手に入れたがりました。今では、マルチビタミン錠を一粒飲めばすべてのビタミンが摂取できます。

タンジブルな生体にはあらゆる薬があるものの、人間のインタンジブルな病、エゴに効く薬は開発されないでしょうか。心臓肥大も厄介ですが、エゴの肥大もそれ以上に厄介です。資本主義が進むにつれ肥大しています。エゴの肥大は世界の病です。

G20は相変わらず、領土問題、経済摩擦、核、プラスチックごみなど、人間が「快適」「便利」「もっと、沢山」を求める為に引き起こす、エゴが根源の議題ばかりです。

「欲望制限剤」「いじめ防止剤」「焼き餅調整剤」、こんな薬はないかいな?

「パパ、欲望制限剤飲んだ?」 「ママ、焼き餅調整剤忘れないでね」とか!

「エゴタミン」「ジェラシックス」とか..世界のリーダーにも飲んでいただきたい夢の錠剤、家庭に、職場に、地球に平和が訪れること間違いなしです。

『日本人になったユダヤ人』~「フェイラー 」ブランド 創業者の哲学~(大江 舜)が発刊されました。亡き主人の伝記でございます。ご一読くださればうれしく存じます。書店、アマゾンで取り扱っています。

 
   
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                                                        K.Yamakawa    
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