インタンジブルで「モノの見方」を深める


   近ごろ、都ではやるもの 
   
 

ああ、世の中はぐるぐる変わる。そのスピードはメリーゴーランドに乗っている如し。パソコン、はじめ、携帯や、支払い方法、ネットショップ、旅行の手配、あらゆることを若い人に助けてもらってやっとついていくが、最近はそれもままならない。チャットGPTって何? LGBTって何?「お母さん、私だって知らない」と60歳近い娘。

友だちと一緒に最近オープンしたスーパーに行った。

それにしても、何と目に付くのは男性化粧品の棚の長さ、品物の多さ。次に、これでもかというほど大きな場所を取っている、ペット用品の売り場。犬のおやつを一度食べてみたい。入口から一直線にお弁当が奥までつづき、横町を歩くがごとし。それで、自分の買いたいバッテリーを捜すのに一苦労。なんだ、レジのすぐそばの棚に置いてあるではないの?買い物にもコツがいる。男性化粧品、ペット用品。お弁当。どれをとっても女性の強さを感じる。女性に嫌われたくない。僕より犬が大切な妻、夕食の手間も時間も省く奥さん。

友だちいわく、「男性は奥さんと共有でバッグを使うそうよ、お化粧品は女性より高価なものを使っている、目下、男性用日傘は傘売り場の華だそう。マニキュアサロンでつめの手入れもして、脱毛には100万使う人もいる」という。メリーゴーランドから落ちそうになり声を上げた。時代はあと戻りできない。これしきの事に驚かないで、振り落とされないように前に進まなくちゃ。

でも、それも序の口、でかでかと大きな紙面を取った新聞の記事。「性差問わない下着広がる」である。これをジェンダレスファッションというそうだ。ある有名ブランドが開発したパンツは前の部分の開け口がなく、平らにしたボクサーパンツが男女兼用でよく売れるそうだ。説明に、男性は座って用を足す人が増えているので、前閉じ商品が多くなったという。今に女性が便座にすわらなくなったらどうしよう?でも生理的にそれはあり得ないだろうな!と想像して一人笑い。

この商品企画は、「誰もが自分らしく、快適に」がベースにあるそうだ。世の中、快適なら、なんでもいいのかな?!ママとパパのパンツの話だけでなく、子供の肌着も兼用の新製品があるそうだ。今にたんすの引き出しも、ママの段、パパの段と分ける必要もなくなる。「ママ、ぼくのブラジャーどこいった?」齢の割に私は好奇心が強く創造力もたくましい。

ある日気が付いたら、ママの服を借りて通勤するパパが出てくるのではないか、そんな時代が来るのではと思ってしまう。だって、学生の制服もスラックスやスカートを選択制にするそうだ。男子生徒がスコットランドの男性のようにスカートをはき、ジェンダレス・ボクサーパンツをはいて登校するのだろうか?

こんな世の中にしたのには、私にも責任の一端がある。男性に会うごとに、「シミのいっぱいついた、汚い肌は女性に嫌われるから、UVカットの化粧水を塗り、日焼けに気を付けたほうがいい。そうでなくても、長生きになって、汚い、臭いなど、とんでもない言葉をはかれないように気を付けて」と男性に会うたびに、心配していいまくったのです。それが本当になっちゃった。今に、女性がそう言われる時代が、かならず来る!その日のために女性もがんばらなくちゃね!

私たちは店頭で買えるタンジブルな「しっとりクリーム」より自分でしかつくれないインタンジブルな「しとやかクリーム」をぬったほうがよさそう。


 
        
                                                         
   山川和子    
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