インタンジブルを深める




   読書  
     
 

”他人の自我にたえず耳をかさねばならぬこと、それこそまさに読書ということなのだ“
これはニーチェの言葉です。    ≪エッケ・ホモ(この人を見よ)

ニーチェの言葉どおり読書とは、他人の自我と自分の自我が共鳴し合い、自然に耳を明け渡す現象のようなものです。

自分探しの旅・・人の書いたものは人の思想であり、意見であり、見方であり、体験、経験であるのだけれど、自分でひもとけなかった自分発見の方法であることに間違いないと思います。面白い本には、耳のみならず、心も明け渡しています。無形の力による相互作用です。

面白くない本は自分と出会っていないからです。人と意気投合するとき幸せを感じるでしょう?それと同じく、本と出合うとわくわくします。自分が体験、経験しなくても本が未知なるものを教えてくれ、”私”をひもといてくれ、叱咤激励してくれ、夢を与えてくれる。相手が生きている人間か、本かの違いです。静かでいたいときは人間のようにべらべらしゃべらず、沈黙の中でしかも、より多くを語りかけてくれます。

読書は私にとって宗教のようなものだとも思っているのです。いやなこと、苦しい事をしばし忘れさせてくれ、逃避の手段となってくれ、さらに、それにより癒され、救われ、助言もしてくれる。そして自分の感性や思想をさらに磨いてくれる手段です。

大体、最初の10ページぐらいは面白くありません。何が書かれているか解らないし、”他人の自我”が見えてこないし、ウロウロしますが、読み通すほどに入り込んでゆきます。

さらーっと楽しく読むものから、蛍光ペンでいっぱいマークして、再読するものから、座右の書として取っておくものから、泣いたり、笑ったり、感動して人と共有するものから、読書が与えてくれるインタンジブル・パワーは計り知れません。

本がなかったら不安になるくらい私のパワーの源泉になっています。一冊の本で人生観が変わるということも起こりえるでしょう。それには謙虚に人の書いたもの、意見に耳を貸しましょう。一度、ゆっくり時間を取って本屋さんに行って、棚を眺めてみてください。世界中にあなたの味方、導き手、冒険の先駆者、夢を語る人が、無数いることを知るでしょう。畳半畳あれば、何処ででも、何時間でも過ごせます。本の不思議な見えない力を大いに、自分のために役立て、利用してください。読書こそ見えない力

 
                                                        K.Yamakawa    
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